2021-06-11
View Componentのすすめ②
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前記事までの知識を前提としています。
準備
例として、次のようなカラムを持つPost
クラスを用意します。
title -> タイトル
description -> 概要
published_at -> 公開日時
Post(id: integer, title: string, description: string, published_at: datetime, created_at: datetime, updated_at: datetime)
Component を作成する
次のコマンドを実行して Post の情報を表示するPostComponent
を作成しましょう。
$ rails g component Post post --preview
Running via Spring preloader in process 117
create app/components/post_component.rb
invoke rspec
create spec/components/post_component_spec.rb
invoke preview
create lib/component_previews/post_component_preview.rb
invoke erb
create app/components/post_component.html.erb
# app/components/post_component.rb class PostComponent < ViewComponent::Base def initialize(post:) @post = post end end
view は次のように記述し、title
, description
, 公開されていればpublished_at
を表示するようにしてみましょう。
# app/components/post_component.html.erb
<div>
<h1><%= @post.title %></h1>
<h2><%= @post.description %></h2>
<% if @post.published_at.present? %>
<%= @post.published_at %>
<% end %>
</div>
また、生成されたプレビューは次のように実装してみました。
# lib/component_previews/post_component.rb class PostComponentPreview < ViewComponent::Preview def default post = Post.new(title: 'Default', description: 'default description') render(PostComponent.new(post: post)) end end
上記で引数として渡したpost
ではpublished_at
がnil
になっています。
プレビューを表示して公開日時が表示されていないことを確認してみましょう。(確認方法は前の記事で紹介しています。)
次は公開日時が設定されている場合のプレビューを追加します。
# lib/component_previews/post_component.rb class PostComponentPreview < ViewComponent::Preview # ... def published_post post = Post.new(title: 'Published post', description: 'This is published post', published_at: Time.current) render(PostComponent.new(post: post)) end end
この場合、published_at
を持つ post が引数で与えられているので、Component の view で公開日時が表示されるようになりました。
拡張性について考える
上記あげた例のように単純な Component で良いのならば特に問題はないと思います。
ただ、現実のアプリケーションでは様々ニーズに合わせて機能を拡張する必要があります。
<br/>
このアプリケーションを使用するユーザーから次のような要望がありました。
公開日時が現在時刻よりも先の場合にのみ表示するようにしてほしいのですけど…
このような要望は即 OK レベルだと思います。
さて Component に条件を追加していきましょう。
# app/components/post_component.html.erb
<div>
<h1><%= @post.title %></h1>
<h2><%= @post.description %></h2>
<% if @post.published_at.present? && @post.published_at > Time.current %>
<%= @post.published_at %>
<% end %>
</div>
さて、これで要望通りに実装することができました。 しかし、触れておきたいことがあります。
if @post.published_at.present? && @post.published_at > Time.current
これは view のロジックとしてまだまだ許容範囲ではありますが、今後さらに表示の条件が加わった場合にかなり汚れた view になってしまうことは想像しやすいと思います。
この他にも、
<br/>
titleの長さが8文字を越えたら改行してほしい
<br/>
なども加わると可読性が落ちていきますね。(あぁ、嫌だ…)
可読性を維持するためのポイント
- view にロジックをベタ書きしない
@post.published_at.present? && @post.published_at > Time.current
このような条件はすぐに Component の Class にメソッドを用意しましょう。
# app/components/post_component.rb class PostComponent < ViewComponent::Base def initialize(post:) @post = post end private def display_published_at? @post.published_at.present? && @post.published_at > Time.current end end
# app/components/post_component.html.erb
<div>
<h1><%= @post.title %></h1>
<h2><%= @post.description %></h2>
<% if display_published_at? %>
<%= @post.published_at %>
<% end %>
</div>
これで、view がシンプルになりました。
published_at を表示するための条件があることがわかり、
必要に応じて他のエンジニアはPostComponent
クラスを見にいくでしょう。
- モデルに関するロジックを Component クラスで定義しない
view component は UI を生成するためのクラスです。 なので、view に関するロジックだけを記述するようにしましょう。
たとえば、@post.published_at.present?
は post インスタンスが published_at
という値を所持しているかどうか確認しています。
そして、@post.published_at > Time.current
の比較を行っています。
しかし、view component にとっては post の中身の確認はどうでもよく表示する or 表示しないの判断のみが知りたいのです。
なので、このようなモデルに関するロジックは Component に記述しないようにしましょう。
# app/models/post.rb class Post < ApplicationRecord def published? return if published_at.nil? published_at < Time.current end end
# app/components/post_component.rb class PostComponent < ViewComponent::Base def initialize(post:) @post = post end private def display_published_at? !@post.published? end end
これで、PostComponent は@post.published?
が返す値だけに関心を持つ健全なクラスとなりました。
- テストをシンプルに保つ
テストについて書くとそれだけで1つの記事になるのでここではポイントとなる点を挙げます。 Ruby on Rails で使用されるテスティングフレームワークは、主に Minitest と RSpec だと思いますが、 view_component はもちろんどちらにも対応しています。
今回用いている、post には2種類の表示パターンが存在しています。
- Post に
published_at
が存在する - Post に
published_at
が存在しない
なので、テストも同様に2種類のパターンだけ正しく表示されているかのテストを行いましょう。 基本的な書き方はドキュメントの通りです。 例えば、
require "rails_helper" RSpec.describe PostComponent, type: :component do it "renders default" do post = Post.new(title: 'Default', description: 'default description') render_inline(described_class.new(post: post) expect(rendered_component).to have_text "Default" expect(rendered_component).to have_text "default description" end end
このようにある条件下での正しい表示の挙動が確認できれば十分だと思います。 むしろ、このようにシンプルになるような Component 設計を心掛けましょう。
ところで、みなさん上記のテストが何かとそっくりなことにお気づきになられたでしょうか?
そうです。Preview で記述したこととほとんど同じです。
シンプルな Component ほどこれらは似ているコードになることでしょう。
Test ≒ Preview
のようなもので、開発者自身が最初に目視で確認し Test と組み合わせることで簡単に健全な Component クラスが作成できます。
これら2つを組み合わせて最高な開発体験を手に入れましょう。
最後に
ここまで2回に渡って ViewComponent について話してきました。 後半では私が Component クラスを作成する時に気にしている点。どのようにすればメンテナンスがしやすい健全なコードになるのか、私個人の意見を述べました。 この記事が誰かの助けになれば幸いです。 私自身、ViewComponent は Rails でとても大きな存在になると確信しています。 これからも良い Component を作れるように精進してまいりますのでどうぞよろしくお願いします。
Watakumi